南カリフォルニア出戻り東京日日見聞録

17年間の南カリフォルニア生活にピリオドを打ち、東京に戻ってきました。2019年以前は「南カリフォルニア日日見聞録」、その後は半分アメリカ人みたいになって帰国したmishaの東京見聞録となります。

祖国とは国語 (新潮文庫)

祖国とは国語 (新潮文庫)

今から読書をするのは遅すぎるだろうか?
と、真剣に考えたくらい、国語教育の大切さを説いた「国語教育絶対論」の説得力に慌てた。その中のひとつひとつの章に頷きながら読んでいたが、「アメリカ帰りが多すぎる」では、とうとう痛いところを突かれた。


「アメリカは多くの点で魅力ある国である。例えば、能力が他のどの国より公正に評価されている。一般的に能力の高い、長期滞在の外国人にとって、アメリカはどこよりも住みやすい国と言える。しかし彼等には、国民の大半を占める能力の高くない人々が、実力主義や競争社会の中でどれほどの苦悩や欲求不満にあえいでいるかは見えにくい。」(P.80)


日本のリーダーについて論じてあるので"能力の高い長期滞在の外国人にとって"となっているけれど、一般人について言えば英語の上に日本語が話せて、そこそこのコミュニケーション力があり、なおかつ大都市で人種差別に関係ない地域に住んでいる外国人は全てこのカテゴリーに入ると思う。そういう意味では私もそうだった。しかし、”能力の高くない人々”の苦悩に気づかない訳でもない。苦悩を背負わなくていい自分の立場に気づいていて、「居心地の良さ」に甘んじ、自国だったらやったに違いないある種の努力を怠っていなかったか?私はひょっとしたら「ダメな日本人」になっているのではないかな?


藤原てい著『流れる星は生きている』を読んだのは高校時代だったと思う。まさか、数学者の藤原正彦さんが息子さんであるとは、この本を読むまで知らなかった。また『流れる〜』を読み返してみたくなった。