南カリフォルニア出戻り東京日日見聞録

17年間の南カリフォルニア生活にピリオドを打ち、東京に戻ってきました。2019年以前は「南カリフォルニア日日見聞録」、その後は半分アメリカ人みたいになって帰国したmishaの東京見聞録となります。

今週のお題:おすすめの本 『預言者』

久しぶりにカリール・ジブラン『預言者』の中の一節、「子供について」を読んでみた。


預言者

預言者


この詩は子供を私物化してしまう親に対する戒めなのだと思っていた。だから、子供が産まれてからこの本を読むと、思わず自分の行動を振り返って「これはいけない、あれはいけない」と反省してしまうのだろうと。


でも実際には違っていた。普段は赤ん坊の世話にばかり追い回されているので、赤ん坊について哲学的に考える暇なんてない。赤ん坊にありったけの「愛情」を注いで将来の赤ん坊の成長振りを心に思い描くことはあっても、赤ん坊が独自の「考え」を持つ存在になることまでには思いが及ばない。そんな中で、「あなた達が授り育てているものは、かけがえのない大切なものですよ」と改めて気づかされ、柄にもなくウルウルしてしまった。この詩はもっと希望と喜びに満ちたものだったんだなぁと。


子供が反抗期に入ったら、またぜひ読み直してみたい(笑)
あまり他人に本をすすめるのは思想を押し付けるようで好きではないので、将来の自分への「おすすめの本」として。


以下、「子供について」の引用。


そこで、子供を胸にかかえた女が言った。
お話ください。子供のことを。
アルムスタファは言った。


あなたの子は、あなたの子ではありません。
自らを保つこと、それが生命の願望。
そこから生まれた息子や娘、それがあなたの子なのです。
あなたを通ってやって来ますが、あなたからではなく、
あなたと一緒にいますが、
それでいてあなたのものではないのです。
子供に愛を注ぐがよい。でも考えは別です。
子供には子供の考えがあるからです。
 

あなたの家に子供の体を住まわせるがよい。
でもその魂は別です。
子供の魂は明日の家に住んでいて、
あなたは夢の中にでも、そこには立ち入れないのです。
子供のようになろうと努めるがよい。
でも、子供をあなたのようにしようとしてはいけません。
なぜなら、生命は後へは戻らず、
昨日と一緒に留まってもいません。


あなたは弓です。
その弓から、子は生きた矢となって放たれて行きます。
射手は無窮の道程にある的を見ながら、
力強くあなたを引きしぼるのです 。
かれの矢が遠く遠くに飛んで行くために。
あの射手に引きしぼられるとは、
何と有難いことではありませんか。
なぜなら、射手が飛んで行く矢を愛しているなら、
留まっている弓をも愛しているのですから。